退職後の住民税は、退職した時期と、それまで給与から天引きされていた住民税の残りによって支払い方が変わります。退職時に最後の給与や退職金から一括で引かれる場合もあれば、後日届く納付書で自分で支払う場合もあります。
また、住民税は前年の所得をもとに翌年度に課税されるため、退職後に収入がなくても支払いが続くことがあります。
退職後の住民税は「残り」と「翌年度分」を支払う
会社員の住民税は、原則として前年の所得をもとに計算され、毎年6月ごろから翌年5月までの給与から天引きされます。このため、退職後に支払う住民税には、主に次の2種類があります。
- 退職時点で給与から天引きされていない、現在の年度分の残り
- 退職した年の所得をもとに、翌年度に請求される住民税
たとえば、2026年3月に退職した場合、2025年の所得をもとにした住民税の残りを支払うだけでなく、2026年6月ごろからは2026年の所得をもとにした住民税が請求される可能性があります。
退職時期によって支払い方法が変わる
退職後の住民税は、退職した月によって、退職時に一括徴収されるか、自分で納付するかが変わります。
| 退職時期 | 一般的な支払い方法 |
|---|---|
| 6月から12月 | 希望すれば、残りを退職時の給与などから一括徴収。希望しない場合は、後日納付書で支払う |
| 1月から5月 | 原則として、5月までに支払う残りを退職時の給与などから一括徴収 |
ただし、最後の給与や退職金の金額が足りない場合、会社が一括徴収できないことがあります。また、会社の手続きや自治体の案内によって扱いが異なる場合があるため、退職前に確認してください。
6月から12月に退職する場合
6月から12月に退職する場合、退職後の住民税は、通常、次のどちらかで支払います。
- 退職時の給与や退職金から、残りの月数分を一括で支払う
- 会社から自治体へ切り替えの手続きをしてもらい、後日届く納付書で支払う
一括徴収を希望しない場合は、退職後に自治体から納付書が届きます。納付書払いでは、年4回などの納期に分けて支払うのが一般的です。
1月から5月に退職する場合
1月から5月に退職する場合は、5月までに給与から天引きする予定だった住民税の残りを、退職時の給与や退職金から一括徴収するのが原則です。
たとえば、3月に退職する場合、4月分と5月分の住民税が最後の給与などからまとめて引かれることがあります。退職月の給与が少ないと、手取り額が大きく減ることがあるため、給与明細で控除額を確認しましょう。
退職後に納付書が届いたら、納期限までに支払う
住民税を給与から天引きできなくなった場合、自治体から納付書が送られます。納付書が届いたら、次の項目を確認してください。
- 対象年度と対象期間
- 納付する税額
- 納期限
- 支払い方法
支払い方法は自治体によって異なりますが、金融機関、自治体の窓口、コンビニエンスストア、口座振替、スマートフォン決済などが利用できる場合があります。納付書に記載された方法を確認してください。
納期限に間に合わない場合や、納付書をなくした場合は、納付書に記載された市区町村の税担当窓口へ早めに連絡します。支払いが難しい事情がある場合でも、連絡せずに放置せず、分割納付などが可能か相談してください。
退職後に住民税が高く感じられる理由
退職後の住民税が高く感じられる主な理由は、住民税が前年の所得をもとに計算されるためです。
退職前の給与が高かった場合、退職後に収入が減っていても、前年の所得に応じた住民税が翌年度に請求されます。住民税は退職後の収入をすぐに反映する税金ではありません。
ただし、退職したことだけを理由に、住民税が自動的に免除されるわけではありません。所得が大きく減った場合の減免制度などは自治体ごとに条件が異なるため、対象になるかは住所地の市区町村に確認が必要です。
退職後に引っ越した場合、どの自治体へ支払うか
住民税は、原則としてその年度の1月1日に住んでいた市区町村に納めます。その後に引っ越しても、すでに決まった年度分の住民税の納付先が、転居先の自治体へ変わるとは限りません。
たとえば、1月1日にA市に住み、その後にB市へ引っ越した場合、その年度分の住民税はA市から請求されるのが基本です。納付先が分からないときは、納付書を発行した自治体へ確認してください。
退職後の住民税を確認する手順
実際にいくら支払うかを確認するときは、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
- 退職前の給与明細で、住民税が毎月いくら天引きされているか確認する。
- 退職月の給与明細で、住民税が一括徴収されているか確認する。
- 会社に、残りの住民税を一括徴収する予定か、普通徴収へ切り替える予定かを確認する。
- 退職後に届いた納付書で、対象年度、税額、納期限を確認する。
- 退職した年の翌年6月ごろに、新しい年度分の納付書や通知が届くか確認する。
会社から受け取る「給与所得の源泉徴収票」は所得税の確認に使う書類で、住民税の納付書とは別のものです。住民税の金額や納期限は、自治体から届く納税通知書や納付書で確認します。
退職後の住民税でよくある注意点
住民税の支払いは退職後すぐに終わるとは限らない
退職時に残りの住民税を一括徴収しても、退職した年の所得に対する翌年度分の住民税が別に請求されることがあります。一括徴収で住民税の支払いがすべて終わったとは限りません。
再就職すると給与天引きに戻せる場合がある
退職後に再就職した場合、納付書で支払っている住民税を、新しい勤務先の給与から天引きする方法へ切り替えられることがあります。切り替えには、本人、新しい勤務先、自治体の間で手続きが必要です。
納付書の納期限を過ぎている場合などは切り替えできないことがあるため、希望する場合は新しい勤務先の担当者と自治体へ早めに相談してください。
退職後の住民税は、まず「残りを一括徴収するか」を確認
退職後の住民税は、1月から5月に退職した場合は残りを一括徴収されるのが原則で、6月から12月に退職した場合は一括徴収か納付書払いを選ぶ形が一般的です。
最初に、退職月の給与明細と会社の説明で、現在の年度分が一括徴収されるかを確認してください。そのうえで、退職した年の所得をもとに翌年度分の住民税が請求される可能性も見込んでおくと、退職後の支払いを把握しやすくなります。







