転職先の内定後に退職を伝えるのは、内定の条件を書面などで確認し、入社意思を固めたあと、できるだけ早くが基本です。内定通知だけでなく、仕事内容・給与・入社日などに納得してから、現在の勤務先へ退職の意思を伝えます。
ただし、内定が「条件付き」だったり、入社日が決まっていなかったりする場合は、先に転職先へ確認しましょう。退職を伝える時期は、法律だけでなく、就業規則や引き継ぎに必要な期間でも変わります。
退職を伝えるのは「内定承諾後」が目安
現在の勤務先に退職を伝えるタイミングは、転職先の内定を承諾し、入社条件を確認したあとが適切です。選考中や口頭で「採用したい」と言われただけの段階で退職を伝えると、正式な内定に至らなかった場合に仕事を失うおそれがあります。
次の内容を確認してから、退職の話を進めると判断しやすくなります。
- 内定通知や労働条件通知書などで、採用が正式に示されているか
- 入社日が決まっているか
- 給与、勤務地、勤務時間、雇用形態、仕事内容に納得しているか
- 内定承諾の期限や、入社前の条件があるか
- 転職先へ入社する意思が固まっているか
内定を承諾しただけで、必ずしもすぐに退職届を提出する必要はありません。まず直属の上司に退職の意思と希望日を伝え、話し合いのうえで必要な書類を提出する流れが一般的です。
退職を伝える時期は、希望退職日の1〜2か月前が実務上の目安
退職を伝える時期は、希望する退職日の1〜2か月前を目安にすると、引き継ぎや有給休暇の取得を調整しやすくなります。管理職や専門職、担当業務が多い人は、さらに長い期間が必要になることがあります。
一方で、退職時期を決めるときは、次の3つを確認してください。
- 現在の会社の就業規則に、退職の申し出期限が定められているか
- 転職先が指定する入社日までに退職できるか
- 引き継ぎ、残っている有給休暇、賞与や給与の支給条件に問題がないか
就業規則に「退職の1か月前まで」などの定めがある場合は、まずその期限を確認します。就業規則の内容や雇用契約の種類によって扱いが変わるため、期限が分からないときは人事部門に確認しましょう。
無期雇用と有期雇用では、退職のルールが異なる
正社員など、期間の定めがない雇用契約では、民法上、退職の申し出から2週間で雇用契約が終了するというルールがあります。ただし、実際の退職手続きでは就業規則や会社との調整も関係するため、2週間前に伝えれば必ず円滑に退職できるとは限りません。
契約社員など、契約期間が決まっている有期雇用では、契約期間の途中で退職できる条件が異なります。契約満了までの期間や契約内容を確認せず、転職先の入社日に合わせて一方的に退職できると判断するのは避けてください。
特に、次のような場合は、就業規則や雇用契約書を確認し、人事担当者や公的な労働相談窓口に相談することを検討してください。
- 有期契約の途中で退職したい
- 会社から退職を認めないと言われた
- 就業規則と雇用契約書の内容が異なる
- 退職を理由に違約金や損害賠償を請求すると言われた
転職先の内定後に退職を伝える手順
退職の話を進めるときは、転職先の条件を確認してから、現在の会社との調整に移ります。基本的な順番は次のとおりです。
- 転職先から提示された労働条件を確認する。給与や仕事内容だけでなく、入社日、勤務地、雇用形態、試用期間、勤務時間などを確認します。
- 内定を承諾し、入社日を転職先と調整する。現在の会社の引き継ぎ期間も考慮し、無理のない日程を相談します。
- 直属の上司に退職の意思を伝える。周囲の同僚や取引先より先に、直属の上司へ個別に伝えるのが基本です。
- 退職希望日と引き継ぎ内容を話し合う。担当業務、後任への説明、有給休暇の取得時期などを整理します。
- 会社の手続きに従って退職届などを提出する。書式や提出先、提出期限は会社によって異なるため、確認してから提出します。
- 転職先へ確定した退職日を伝える。退職日が決まったら、入社日との間に空白や重複がないか確認します。
上司にはどのように伝える?
退職理由は、転職先の会社名や待遇を詳しく説明する必要はありません。まずは退職の意思と希望時期を、簡潔かつ明確に伝えます。
たとえば、次のように伝えられます。
「お時間をいただきありがとうございます。今後のキャリアを考えた結果、退職したいと考えています。希望する退職時期は○月末です。引き継ぎについては、できるだけ支障が出ないよう準備します。」
「少し考えたい」「転職を検討している」という表現だけでは、退職の意思が伝わらないことがあります。退職すると決めている場合は、相談ではなく退職の意思として伝えることが大切です。
転職先の入社日が先に決まっている場合の注意点
転職先から入社日を指定されている場合でも、現在の会社にその日程を一方的に伝えるのではなく、就業規則と引き継ぎの状況を確認しましょう。退職日を早められるかどうかは、会社との合意や雇用契約の条件によって変わります。
現在の会社との調整が難しいときは、転職先に事情を説明し、入社日の変更が可能か相談します。退職日が決まっていない段階で、転職先に「確実にその日から入社できる」と断定するのは避けてください。
退職を伝える前に避けたいこと
内定後であっても、次のような行動はトラブルにつながる可能性があります。
- 口頭の採用連絡だけを根拠に、現在の会社を退職する
- 給与や仕事内容などの条件を確認しないまま内定を承諾する
- 就業規則を確認せず、退職日の直前に申し出る
- 同僚や取引先に先に退職を知らせる
- 引き継ぎをせずに出社しなくなる
内定の取り消しや入社条件の変更がないか不安な場合は、転職先に、内定通知の内容と入社条件を文書で確認しておきましょう。ただし、書面がある場合でも、記載された条件や付帯条件を確認する必要があります。
転職先の内定後に退職を伝える時期のまとめ
転職先の内定後に退職を伝えるのは、内定を承諾し、労働条件と入社日を確認したあとが基本です。実務上は、希望退職日の1〜2か月前を目安に、直属の上司へ伝えると引き継ぎを進めやすくなります。
まずは転職先の条件と現在の会社の就業規則を確認し、そのうえで退職日と入社日を調整してください。有期雇用や退職日の調整が難しい場合は、契約内容を確認してから会社や労働相談窓口へ相談しましょう。







