会社を辞めるときに考えることや手続きは?

会社を辞めるときに考えることや手続きは?

会社を辞めるときは、退職の時期と生活費を確認したうえで、会社への申し出、業務の引き継ぎ、健康保険・年金・税金の手続きを進めます。退職後にすぐ働くか、転職先が決まっているかによって必要な手続きが変わるため、先に状況を整理しておくことが大切です。

会社を辞める前に考えること

まず、なぜ辞めたいのか、辞めた後にどうするのかを具体的に整理しましょう。勢いで退職すると、収入や保険の手続きで困ることがあります。

  • 転職先が決まっているか
  • 退職後の生活費を何か月分用意できるか
  • 有給休暇をいつ使うか
  • 退職後の健康保険をどうするか
  • 雇用保険の基本手当を受ける可能性があるか
  • 退職前に受け取る書類や返却物は何か

転職先が決まっていない場合は、貯金だけで生活できる期間を計算しておくと判断しやすくなります。家賃、食費、通信費、税金、保険料など、退職後も続く支出を確認してください。

退職理由によって扱いが変わることがある

自己都合で辞める場合と、会社の倒産・解雇・雇い止めなどで辞める場合では、雇用保険の扱いが異なることがあります。病気やけが、長時間労働、賃金未払い、ハラスメントなどが理由の場合も、退職理由を一律に「自己都合」と決めつけず、事実を記録しておきましょう。

離職理由の最終的な判定は、会社が作成する離職票の内容と、ハローワークでの確認をもとに行われます。

会社に退職を伝える時期と方法

退職を決めたら、まず直属の上司に退職の意思と希望日を伝えます。いきなり同僚や取引先へ伝えるのではなく、会社の手順に従ってください。

期間の定めがない雇用契約では、法律上、退職の申し出から一定期間が経過すると退職できるとされています。一方、就業規則で「退職希望日の1か月前」などの手続きを定めている会社もあるため、早めに就業規則を確認しましょう。

契約社員など、期間の定めがある雇用契約は、契約期間の途中で自由に辞められるとは限りません。契約期間、更新の有無、やむを得ない事情の有無によって扱いが変わるため、契約書を確認し、必要に応じて労働基準監督署やハローワークなどへ相談してください。

退職届と退職願の違い

書類 主な意味
退職願 退職を希望し、会社に承認を求める書類
退職届 退職することを届け出る書類
辞表 一般の従業員ではなく、役員などが辞任するときに使われることが多い書類

会社から指定の用紙や提出方法を案内されている場合は、それに従います。退職日について合意した後は、提出した書類の写しや会社とのやり取りを保管しておくと安心です。

退職日までに行う手続き

退職日までに、引き継ぎ、備品の返却、書類の受け取りを済ませます。特に、会社から受け取る書類は退職後の保険や失業給付の手続きで使うことがあります。

  1. 上司や人事担当者に退職の意思と希望日を伝える
  2. 退職日、有給休暇の取得日、最終出勤日を確認する
  3. 担当業務、進行中の仕事、連絡先、期限を引き継ぎ資料にまとめる
  4. 健康保険証など、会社から貸与されている物を返却する
  5. 離職票、雇用保険被保険者証、源泉徴収票などの発行時期を確認する
  6. 最後の給与、未払い賃金、退職金の有無と支給時期を確認する

有給休暇は退職前に使える

残っている年次有給休暇は、退職日までに取得できます。退職日を過ぎて有給休暇を使うことはできないため、残日数と取得希望日を早めに確認しましょう。

会社は業務への大きな支障がある場合に取得時季を変更できることがありますが、退職日を過ぎる日へ変更することはできません。取得について会社と意見が合わない場合は、労働基準監督署などに相談できます。

退職後の健康保険を選ぶ

退職後に再就職しない場合、健康保険は自動的に同じ状態で続くとは限りません。主な選択肢は、家族の健康保険の扶養に入る、前の会社の健康保険を任意継続する、国民健康保険に加入する、の3つです。

選択肢 向いているケース 確認すること
家族の健康保険の扶養 家族が健康保険に加入しており、収入などの条件を満たす場合 加入条件、今後の収入、必要書類
任意継続 退職前の健康保険を一定期間続けたい場合 退職前の加入期間、保険料、申請期限
国民健康保険 扶養や任意継続を利用しない場合 市区町村ごとの保険料、加入手続き、必要書類

任意継続には、退職前の健康保険への加入期間などの条件があり、申請期限もあります。協会けんぽや加入していた健康保険組合に確認してください。国民健康保険の保険料は自治体や前年の所得、世帯の状況などで変わるため、退職前に市区町村へ試算を問い合わせると比較しやすくなります。

退職後に健康保険へ加入する際は、会社から受け取る健康保険資格喪失証明書が必要になることがあります。必要かどうか、退職前に提出先へ確認しましょう。

年金の切り替えを行う

退職後すぐに厚生年金へ加入する会社で働かない場合は、国民年金への切り替えが必要です。原則として、住所地の市区町村役場で手続きを行います。

配偶者の厚生年金の扶養に入る場合は、国民年金の第3号被保険者に該当する可能性があります。ただし、収入などの条件があるため、配偶者の勤務先に確認してください。

収入が減って国民年金保険料の支払いが難しい場合は、免除や納付猶予を申請できることがあります。未納のままにせず、年金事務所や市区町村の窓口で制度の対象になるか確認しましょう。

雇用保険の手続きをする

転職先が決まっておらず、働く意思と能力がある場合は、ハローワークで求職の申し込みを行い、基本手当の受給手続きを検討できます。受給には、雇用保険の加入期間などの条件があります。

手続きには、通常、離職票、マイナンバーを確認できる書類、本人確認書類、写真、本人名義の預金口座が分かるものなどを使います。必要書類は状況によって異なるため、管轄のハローワークで確認してください。

病気やけが、妊娠・出産、育児などですぐに働けない場合は、通常の失業給付の手続きをそのまま進められないことがあります。退職後すぐに働けない事情がある場合は、ハローワークへ相談してください。

住民税と所得税を確認する

退職すると、給与から天引きされていた住民税の納め方が変わることがあります。退職時期によって、最後の給与からまとめて天引きされる場合や、後日、自分で納付する場合があります。

住民税は前年の所得をもとに課税されるため、退職後に収入がなくても支払いが残ることがあります。会社の給与担当者に、退職後の住民税がどのように請求されるか確認しておきましょう。

所得税については、年内に転職する場合、転職先で前の会社の源泉徴収票を使って年末調整できることがあります。年内に再就職しない場合は、確定申告が必要になるケースがあります。退職した年の源泉徴収票は、転職先や確定申告で使うため保管してください。

退職時に受け取る主な書類

退職時に受け取る書類は、会社や退職後の状況によって異なります。次の書類が必要か、人事担当者に確認しましょう。

  • 源泉徴収票
  • 離職票
  • 雇用保険被保険者証
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 年金手帳または基礎年金番号が分かる書類
  • 退職証明書

離職票は、失業給付の手続きをするときに使います。すぐに転職する予定でも、転職先が決まらなくなった場合などに必要になることがあるため、必要性を会社へ伝えて発行を依頼しておくと確認しやすくなります。

会社を辞めるときに注意したいケース

退職を引き止められている

退職の意思を伝えた後に引き止められても、退職日や手続きの扱いが不明なまま働き続けないようにしましょう。退職日、残っている有給休暇、引き継ぎ内容を文書で確認してください。

退職を認めてもらえない、賃金が支払われない、離職票を発行してもらえないなどの問題がある場合は、労働基準監督署、ハローワーク、都道府県労働局の相談窓口などに相談できます。

心身の不調やハラスメントがある

仕事が原因で心身に不調がある場合は、退職の判断だけでなく、医療機関への相談や、勤務状況・メール・発言内容などの記録も検討してください。体調が悪い状態で無理に引き継ぎを続ける必要があるとは限りません。

ただし、病気やハラスメントが退職後の給付や会社との話し合いに関係することがあるため、退職理由を事実と異なる内容で処理しないことが大切です。

会社を辞めるときの確認順

何から始めればよいか迷う場合は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 退職後の生活費と転職予定を確認する
  2. 雇用契約書と就業規則で退職の申し出時期を確認する
  3. 上司や人事担当者に退職日と手続き方法を確認する
  4. 有給休暇、給与、退職金、引き継ぎの予定を決める
  5. 健康保険、年金、雇用保険、住民税の手続きを確認する
  6. 退職後に必要な書類を受け取り、返却物を返す

会社を辞めるときは、退職日を決める前に、退職後の生活費と健康保険の選択肢を確認することが最初のポイントです。そのうえで、会社への申し出、引き継ぎ、保険・年金・税金・雇用保険の手続きを順番に進めましょう。