退職後に失業手当(雇用保険の基本手当)を受給するには、原則として退職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること、そして働く意思と能力があり、求職活動をしていることが必要です。
ただし、退職理由によって受給開始時期や給付日数が変わります。病気や妊娠などですぐに働けない場合は、通常の失業手当をすぐに受け取れないことがあります。
退職後に失業手当を受給する主な条件
次の条件をすべて満たすことが、基本手当を受給するための基本的な要件です。
- 退職して雇用保険の被保険者ではなくなっている
- 就職する意思がある
- すぐに働ける状態である
- 積極的に仕事を探している
- 一定期間以上、雇用保険に加入していた
単に退職しただけでは、失業手当の支給対象にはなりません。ハローワークで求職の申込みを行い、失業状態にあることの確認を受ける必要があります。
雇用保険に加入していた期間の条件
一般的な自己都合退職などでは、退職日からさかのぼった2年間に、被保険者期間が通算12か月以上必要です。
ここでいう1か月は、原則として賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月、または労働時間が80時間以上ある月として数えます。勤務日数や勤務時間が少ない月は、被保険者期間に含まれない場合があります。
会社都合などで退職した場合
倒産、解雇、雇止めなど、本人の意思によらない退職や、やむを得ない理由による退職では、退職日からさかのぼった1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば、受給資格を満たす場合があります。
ただし、退職理由が会社都合に当たるか、特定受給資格者や特定理由離職者に該当するかは、離職票の記載や本人の説明、会社から提出された資料などをもとにハローワークが判断します。
「失業状態」と認められる条件
失業手当でいう失業とは、就職したい意思があり、いつでも働ける状態であるにもかかわらず、仕事に就けていない状態です。
次のような場合は、通常の意味での失業状態に当たらない可能性があります。
- 病気やけがですぐに働けない
- 妊娠、出産、育児などですぐに働けない
- 家事や学業に専念しており、すぐに就職できない
- すでに就職先が決まっている
- 自営業の準備や事業経営を主に行っている
病気、妊娠、出産、育児などで30日以上続けて働けない場合は、失業手当を受け取る期間を延長できる制度があります。働けない状態のまま受給手続きを進めるのではなく、ハローワークに事情を伝えて、受給期間の延長ができるか確認してください。
自己都合退職と会社都合退職で何が変わるか
退職理由によって、受給開始までの期間や給付日数が変わります。自己都合退職でも受給資格がなくなるわけではありませんが、会社都合退職などに比べて支給開始が遅くなることがあります。
| 退職理由 | 主な違い |
|---|---|
| 正当な理由のない自己都合退職 | 7日間の待期期間に加え、給付制限が設けられる |
| 倒産・解雇など | 給付制限がなく、被保険者期間などの条件が異なる場合がある |
| 病気、家族の事情などやむを得ない退職 | 退職理由が認められれば、一般の自己都合退職とは異なる扱いになる場合がある |
どの退職理由に分類されるかは、離職票に書かれた内容だけで確定するとは限りません。離職票の退職理由に事実と違う点がある場合は、ハローワークで事情を説明し、給与明細、診断書、会社とのやり取りなど、確認できる資料を提出します。
自己都合退職の給付制限
自己都合で退職した場合は、まず7日間の待期期間があります。その後、正当な理由のない自己都合退職では、原則として給付制限がかかります。
2025年4月1日以降の退職については、通常の給付制限は原則1か月です。ただし、過去5年間に複数回の自己都合退職がある場合や、重大な理由による懲戒解雇の場合などは、扱いが異なることがあります。
給付制限の期間中も、ハローワークが求める失業認定や求職活動の条件を満たす必要があります。給付制限が終われば自動的に支給されるのではなく、失業認定を受けることが必要です。
退職後に失業手当を受給する手続き
受給を希望する場合は、住所地を管轄するハローワークで手続きを始めます。基本的な流れは次のとおりです。
- 会社から離職票を受け取る
- 住所地を管轄するハローワークで求職の申込みをする
- 離職票などを提出し、受給資格の確認を受ける
- 雇用保険受給者初回説明会などに参加する
- 決められた認定日に、失業認定を受ける
- 認定後、指定した口座に基本手当が振り込まれる
通常、手続きには離職票、本人確認書類、マイナンバーを確認できる書類、写真、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードなどを使います。ただし、必要書類や写真の扱いはハローワークによって案内が異なる場合があるため、手続き前に管轄のハローワークへ確認してください。
失業手当を受給するために必要な求職活動
失業認定を受けるには、認定対象期間中に決められた回数以上の求職活動を行う必要があります。求人への応募、職業相談、職業紹介、就職支援セミナーへの参加などが求職活動に当たる場合があります。
求人情報を閲覧しただけでは、求職活動として認められないことがあります。何が実績として認められるか、必要な回数は受給資格決定時の説明やハローワークの案内で確認してください。
失業手当の受給期間と給付日数
基本手当を受給できる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。受給期間内であっても、給付日数の上限までしか受け取れません。
給付日数は、年齢、雇用保険の被保険者期間、退職理由などによって決まります。倒産・解雇などの場合は、自己都合退職よりも給付日数が多くなることがあります。
受給期間の終わりが近いと、所定給付日数が残っていても受け取れない場合があります。退職後は、離職票が届くのを待ちすぎず、早めにハローワークへ相談することが大切です。
受給できるか判断するための確認ポイント
自分が条件を満たすか分からない場合は、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
- 離職票で、退職日と退職理由を確認する
- 退職前2年間、または会社都合などの場合は退職前1年間の雇用保険加入状況を確認する
- 現在、すぐに働ける健康状態や生活状況かを確認する
- 就職する意思があり、求職活動を行えるかを確認する
- 離職票などの必要書類を持って、住所地を管轄するハローワークで受給資格を確認する
特に、退職理由、雇用保険の加入期間、退職後すぐに働けるかどうかの3点が、受給資格や支給開始時期を分ける重要な条件です。
退職後の失業手当は、原則として「雇用保険の加入期間が一定以上ある」「働く意思と能力がある」「求職活動をしている」場合に受給できます。まずは離職票を確認し、退職理由や加入期間に疑問があれば、ハローワークで個別に判断してもらいましょう。







