転職先の内定を承諾し、入社日や雇用条件を確認できたら、現在の会社には直属の上司へ、できるだけ早く直接伝えるのが基本です。最初から退職届を提出するのではなく、まずは退職の意思と希望時期を口頭で伝え、引き継ぎや退職日を相談します。
ただし、口頭の内定だけで退職を決めるのは避け、労働条件通知書や雇用契約書などで、入社日・給与・勤務地・雇用形態などを確認してから伝えると安心です。
内定後に退職を伝える基本的な順番
退職の話は、次の順番で進めると会社との行き違いを減らせます。
- 転職先から書面で労働条件を確認する
- 転職先への入社意思と入社日を確定する
- 現在の会社の就業規則で退職の申し出時期を確認する
- 直属の上司に時間を取ってもらう
- 退職の意思と希望する退職時期を伝える
- 引き継ぎや残っている休暇、最終出社日を相談する
- 会社の手順に従って退職届を提出する
転職先の入社日が決まっている場合でも、現在の会社の承認を待ってから転職先へ伝えるのではなく、両社の予定を確認しながら調整します。入社日を一方的に決めると、引き継ぎ期間が足りなくなることがあります。
上司への退職の伝え方と例文
上司には、退職理由を長く説明するよりも、退職の意思、希望時期、感謝を簡潔に伝えます。次のように話すと、退職の相談であることが伝わります。
「お時間をいただきありがとうございます。突然で申し訳ありませんが、転職を決めましたので、○月末をめどに退職したいと考えています。これまでお世話になったことに感謝しています。業務への影響が出ないよう、引き継ぎを進めますので、退職時期についてご相談させてください」
退職理由を聞かれたら、転職先の会社名や給与などを詳しく話す必要はありません。たとえば「今後のキャリアを考え、別の環境で経験を積むことにしました」と伝えれば十分です。
メールで面談の時間を依頼する例
いきなり退職の詳細をメールで送るのではなく、まず上司に話す時間を依頼します。
件名:ご相談のお時間について
○○部長
お疲れさまです。ご相談したいことがあるため、○月○日または○月○日にお時間をいただけますでしょうか。30分ほどお時間をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
上司に直接会うことが難しい場合は、会社のルールに従ってオンライン面談や電話で伝えます。チャットやメールだけで退職の意思を伝えると、意図や時期が正確に伝わらないことがあるため、できるだけ対話の機会を設けます。
退職を伝える時期はいつがよいか
目安は、転職先の入社日から逆算して、引き継ぎと有給休暇の取得に必要な期間を確保できる時期です。転職先の内定を承諾した後、長期間保留せず、入社日と退職時期を確認でき次第、早めに伝えます。
無期雇用の従業員は、法律上、退職の申し出から2週間が経過すると退職できるとされています。ただし、実際の退職手続きや引き継ぎには時間がかかるため、2週間前に伝えれば常に円満に退職できるとは限りません。就業規則に申し出の期限が定められている場合は、その内容も確認しましょう。
また、年俸制など一部の雇用形態では、民法上の扱いが異なる場合があります。期間の定めがある契約社員などは、契約期間の途中で退職できる条件が別に定められていることがあるため、雇用契約書と就業規則を確認してください。
退職理由はどこまで伝えるべきか
退職理由は、転職先の情報まで詳しく説明する必要はありません。会社や上司への不満を並べるより、前向きで簡潔な理由にすると話し合いが進みやすくなります。
- 「今後のキャリアを考え、別の分野に挑戦することにしました」
- 「これまでの経験を生かし、新しい環境で仕事の幅を広げたいと考えています」
- 「転職を決めたため、退職についてご相談したいです」
引き留めを受けても退職の意思が変わらない場合は、「お気持ちはありがたいのですが、すでに転職を決めています」と繰り返します。給与や役職の提示を受けた場合も、その場で判断せず、転職先との契約や自分の希望を比較して決めましょう。
退職届を出すタイミングと書き方
退職届は、上司に退職の意思を伝えて退職日を相談した後に提出するのが一般的です。会社指定の様式がある場合は、その様式を使います。
退職届には、通常、退職日、提出日、所属、氏名などを記載します。退職日がまだ決まっていない段階で、転職先の入社日だけを基準に一方的な退職日を書かないようにしましょう。
一方、退職の意思を明確に示す書類として退職届を提出した場合、会社の承認が必要な「退職願」とは扱いが異なることがあります。提出前に、会社の手続きと退職日の扱いを確認してください。
転職先の入社日と現在の会社の退職日を調整する方法
転職先の入社日が決まっていても、現在の会社の最終出社日、退職日、有給休暇の取得期間は別々に考えます。
| 項目 | 意味 | 確認すること |
|---|---|---|
| 最終出社日 | 職場へ出勤する最後の日 | 引き継ぎや貸与品の返却が終わる日 |
| 有給休暇の取得期間 | 最終出社日後に休暇を取る期間 | 残日数と業務への影響 |
| 退職日 | 会社との雇用関係が終了する日 | 転職先の入社日と重ならないか |
たとえば、3月31日を退職日とし、3月20日を最終出社日にする場合、3月21日から3月31日までを有給休暇にできる可能性があります。ただし、これは有給休暇の残日数や会社との調整によって変わるため、実際の取得可否を確認してください。
退職を伝えるときに避けたい行動
- 書面で内定条件を確認する前に退職を決める
- 直属の上司より先に、同僚や取引先へ退職を伝える
- 「少し考えます」など、退職するか迷っているような伝え方をする
- 会社への不満や転職先の条件を必要以上に詳しく話す
- 引き継ぎの計画を立てず、退職日だけを一方的に指定する
- 転職先の入社日と現在の会社の退職日を重ねる
転職先が現在の会社と取引関係にある場合や、同業他社への転職で守秘義務が関係する場合は、顧客情報や社内資料を持ち出さないよう注意が必要です。競業避止義務などの条項が契約書にある場合は、内容を確認してから行動してください。
引き留められたときの伝え方
引き留めを受けたときは、退職の意思が固まっているかどうかで対応を分けます。転職を取りやめる可能性があるなら、条件を聞いたうえで、転職先との約束や現在の会社での働き方を比較します。
退職の意思が変わらない場合は、次のように伝えます。
「ご提案いただきありがとうございます。ただ、転職する意思は変わっていません。決めた退職日に向けて、引き継ぎを進めさせてください」
退職を撤回する可能性があるのに、転職先へ無断で入社を取りやめるのは避けてください。転職先との内定承諾後に迷いが生じた場合は、早めに転職先へ連絡し、契約や入社手続きへの影響を確認します。
転職の内定後に退職を伝えるときの要点
まず転職先の労働条件と入社日を確認し、次に直属の上司へ退職の意思と希望時期を直接伝えます。退職理由は簡潔にし、退職日、最終出社日、有給休暇、引き継ぎを分けて相談すると、具体的な調整がしやすくなります。
最初に行うことは、転職先から提示された書面で条件を確認し、現在の会社の就業規則で退職手続きの期限を確認することです。







